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初めての借地権付建物ファンドについて

2026年8月21日

こんにちは。なにわファンドの内藤です。

なにわファンドでは、このたび初となる「借地権付建物」を対象としたファンド『まいど31号』の募集(2026年9月予定)を開始いたします。

そこで今回は、募集に先立ち、「借地権付建物」とはどのような不動産なのか、また私たちがなぜ今回この物件に注目したのかについて、できるだけ分かりやすくお話ししたいと思います。

借地権と聞いて、

投資家の皆さまの中には、 「借地権って少し難しそう…」 「普通の不動産と何が違うの?」 と感じられる方もいらっしゃるかもしれません。

一般的な不動産投資では「土地と建物の両方を所有する物件」をイメージされることが多いですが、今回の『まいど31号』は土地を所有せず、土地を借りて建物を所有する「借地権付建物」を対象としています。

借地権付建物には、所有権物件とは異なる独自の特徴やリスクがあります。本記事では、その価値の考え方や組成に至った経緯を丁寧にご説明いたします。


私たちがこの物件に注目した理由

近年は、預金金利や長期金利の上昇など、金利環境に変化が見られます。

預金金利や国債利回りが上昇する一方で、不動産投資に利用する借入金利も上昇しており、不動産投資を取り巻く環境は以前よりも慎重な見極めが必要になっていると感じています。

私たちの基本的な運用方針は、短期間での売却益を狙うのではなく、運用期間中の安定した賃料収入(インカムゲイン)を重視することです。

「都心部の好立地で賃料収入をベースとした安定運用を行いながら、投資家の皆さまに納得感のある利回りをご提示できないか」

と考え、選択肢の一つとして注目したのが借地権付建物でした。

借地権付建物は、土地そのものを購入せずに利用できるため、土地と建物をともに取得する場合と比べ、取得費用を抑えられることがあります。

その一方で、借地権ならではの制約や費用があり、所有権物件とは異なるリスクもあります。

そのため私たちは、立地や賃貸需要、収益性、借地契約の内容などを一つひとつ確認しながら、本物件が安定した運用を目指せる不動産かどうかという視点で、慎重に検討を重ねてまいりました。


借地権付建物とは?

借地権付建物とは、地主様から土地を借り、その土地の上に建つ建物を所有する不動産です。

今回のケースを簡単に表すと、次のような関係になります。

  • 土地 : 地主様が所有
  • 建物 : 借地権者である当社アンビシャスホームが所有

借地権付建物は、全国的に見ても特別に珍しいものではなく、住宅地や商業地など、さまざまな地域に存在しています。

土地を購入することなく、その土地を一定の条件のもとで利用できる点が、借地権付建物の特徴の一つです。

ただし、土地を自由に利用できるわけではありません。

借地権者は、地主様との間で締結した借地契約の内容に従って土地を利用することになります。

そのため、借地権付建物を検討する際には、土地や建物の状態だけでなく、借地期間、地代、契約更新時の条件、譲渡や建替えに関する定めなどを丁寧に確認することが大切です。


借地権は本当に価値があるの?

「借地権は土地そのものではないのに、本当に価値があるの?」

と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

私自身、これまで金融機関で資産運用業務に携わるなかで、

「借地権は所有権より価値が低いのでは?」

「建物は古くなると価値がなくなるのでは?」

というご質問をいただくことがありました。

確かに、建物は築年数の経過とともに老朽化し、会計上の価値も減少していきます。

また、借地権は土地所有権そのものではありません。

しかし、借地権は単に土地を借りているだけの権利ではなく、一定の経済的価値を有する権利として扱われています。

例えば、相続税評価で用いられる路線価には借地権割合が設定されており、借地権の評価を考える際の参考指標の一つとして用いられています。

ただし、借地権割合は、実際の売買価格をそのまま示すものではありません。

実際の借地権の価値は、借地契約の内容、借地期間、立地条件、建物の状態、収益性、市場環境など、さまざまな要素によって変わります。

借地権は単に「土地を借りている」というだけではなく、一定の条件のもとで土地を利用する権利として評価されるものですが、その価値を考える際には、一つの数字だけで判断しないことが大切です。


借地権は立地によって価値が大きく変わります

借地権の価値は、どの地域でも同じというわけではありません。

例えば、次のような立地条件が評価に影響します。

・住宅地なのか、商業地なのか

・駅に近いのか

・幹線道路に面しているのか

・周辺にどのような不動産需要があるのか

特に商業地では、土地を事業や店舗、事務所などに活用したいという需要が見込まれるため、借地権についても、その土地を利用できる権利として評価される傾向があります。

言い換えると、土地の利用価値が高い地域では、借地権も相応に評価される可能性があるということです。

そのため、借地権付建物を考える際には、借地契約の条件だけでなく、その土地がどこにあり、どのような用途や需要が見込まれるのかという点も、重要な判断材料になります。


まいど31号の借地権付建物について

『まいど31号』では、大阪市中央区瓦屋町一丁目に所在する「瓦屋町一丁目ビル」を対象不動産としてファンドの組成を進めています。

本物件は、松屋町筋沿いの商業地域に位置し、防火地域にも指定されています。

また、本物件の所在する地域は、相続税路線価における借地権割合が80%に設定されています。

借地権割合は、その地域の土地利用に関する市場評価を反映する指標の一つとされており、本物件が所在する大阪市中央区も土地利用需要の高い地域の一つと考えられます。

一般的に借地権割合は、借地権の経済的な価値を考える際の参考指標の一つとして用いられています。

ただし、「借地権割合が80%であるため、土地価格の80%で売買できる」という意味ではありません。

実際の借地権の価格は、借地契約の内容、残存する借地期間、建物の状態、市場環境、地主様との関係、収益性など、さまざまな事情を踏まえて形成されます。

そのため、路線価をもとにした相続税評価と実際の取引価格との間には、差が生じる場合があります。

私たちは、周辺の立地環境や賃貸需要、現在の賃貸状況、収益性、借地契約の内容などを確認し、本物件をどのように運営していくことができるのかという視点から検討を重ねてまいりました。



借地権者にとってのメリットとは?

借地権付建物の大きな特徴は、土地を所有していなくても、その土地を利用して事業を行ったり、保有する建物を第三者へ賃貸したりできることです。

例えば、大阪市中央区のような都心部では土地価格が高額になることも少なくありません。

土地と建物を所有権で取得しようとすると、多くの資金が必要になります。

一方、借地権を活用することで、土地取得に必要な資金を抑えながら、不動産を活用できる場合があります。

また、借地権者は土地の上にある建物を所有しているため、その建物を第三者へ賃貸し、賃料収入を得ることができます。

つまり、借地権付建物は「土地を所有していないから価値がない」というものではありません。

借地権付建物の価値は、「土地を利用できる借地権としての価値」「建物としての価値」「賃料収入を生み出す力」をあわせて考える必要があります。


実は取得時は空室でした

本物件を当社が取得したのは令和8年3月です。

もともとは建物オーナー様が長年にわたり梱包材料関連の事業を営まれていましたが、ご年齢のこともあり事業を終了されることとなりました。

その後、本物件は空室となり、ご縁があって当社が取得することとなりました。

取得にあたっては、建物の状態だけでなく、次のような立地条件にも着目しました。

  • 大阪メトロ長堀鶴見緑地線「松屋町」駅まで約200m(徒歩約3分)
  • 松屋町筋沿い
  • 商業地域
  • 防火地域

また、取得にあたっては地主様との協議を行い、借地契約の条件や地代(借地料)の見直しを行うことで、長期的な運営基盤を整えました。

その後、テナント募集を行い、賃貸借契約を締結しました。現在は、法人テナントにご利用いただいています。

不動産の価値や収益は、将来にわたって保証されるものではありません。

また、現在のテナントが今後も入居を継続することや、現在と同じ条件で賃料収入を得られることが保証されているわけでもありません。

そのような前提はありますが、取得時には空室だった本物件について、地主様との協議やテナント募集などを進め、現在は収益不動産として運用できる状態となっています。

この点は、本物件をご紹介するうえで、皆さまにお伝えしておきたい経緯の一つです。


借地権だからこそ考えておきたいリスク

ここまでお読みいただくと、

「借地権にも価値があることは分かったけれど、気を付けるべき点はないの?」

と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

借地権付建物には、土地と建物をともに所有する不動産とは異なる特徴があります。

その特徴は、取得費用を抑えられる可能性があるという面ではメリットになり得る一方、運営や処分に関する制約としてリスクにもなります。

例えば、本物件の借地契約では、地代の支払いに加え、借地権の譲渡や建物の建替え、増改築などを行う際には地主様の承諾が必要となることが定められています。

また、借地契約の更新時には更新料、借地権の譲渡時に譲渡承諾料等の費用が発生します。

土地と建物をともに所有している場合には、所有者の判断で進められることであっても、借地権付建物では、地主様との協議や承諾が必要になることがあります。

加えて、借地権付建物は、所有権物件に比べて購入を検討される方が限られる場合があります。

金融機関からの融資を利用しにくいケースもあるため、売却を希望する時期に買主が見つからない可能性や、売却までに時間を要する可能性も考えておく必要があります。

また、本物件は一棟貸しの物件です。

現在は法人テナントにご利用いただいていますが、将来テナントが退去した場合には、建物全体が空室となり、賃料収入が得られなくなる可能性があります。新たなテナントの募集に時間を要したり、賃貸条件の見直しが必要になったりすることも考えられます。

そのため、『まいど31号』は、借地権付建物特有のリスクや運営状況を確認しながら運用を行うため、運用期間を1年間に設定しています。


だからこそ出口戦略が大切です

借地権付建物は、所有権物件と比較すると、売却時の流動性に異なる特徴があります。

そのため私たちは、現在の賃料収入だけでなく、運用終了時にどのような選択肢が考えられるのかという点についても、あらかじめ検討しておくことが大切だと考えています。

『まいど31号』では、短期間で第三者へ売却することを前提としていません。

現時点では、運用終了時の選択肢として、

  • 事業者による買戻し
  • 本物件を対象とした新たなファンドの組成

などを検討しています。

ただし、これらは現時点における選択肢であり、将来の買戻しや新たなファンドの組成を保証するものではありません。

今後の不動産市況、賃貸状況、借地契約の条件、当社の財務状況などによっては、想定している方法を実施できない可能性もあります。

借地権付建物については、運用期間中の賃料収入だけを見るのではなく、運用終了時の選択肢や、その後の建物の活用方法についても継続して考えていく必要があります。

私たちは、地主様やテナント様との良好な関係を大切にしながら、本物件が長く地域の中で活用される不動産となるよう取り組んでまいります。

また、借地権付建物だから良い、所有権物件だから良いということではなく、それぞれの特徴とリスクを理解したうえで、個々の物件を丁寧に見ていくことが大切だと考えています。

『まいど31号』についても、立地や賃貸状況、借地契約の内容、収益性などを確認しながら検討を重ねたうえで、今回、ファンドとして皆さまにご紹介することといたしました。


最後に

借地権付建物には、所有権物件とは異なる特徴やリスクがありますが、その仕組みをご理解いただくことで、不動産投資の選択肢の一つとしてご検討いただけるものと考えております。

本記事が、借地権付建物への理解を深めるきっかけとなり、『まいど31号』をご検討いただく際の参考になれば幸いです。

なお、『まいど31号』は2026年9月の募集開始を予定しております。

引き続き、皆さまのご期待にお応えできるよう、適正かつ誠実な運営に努めてまいりますので、ご高配を賜りますようお願い申し上げます。