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「不動産クラウドファンディングを始めるのですが…」という相談が増えて感じること

2026年7月31日

こんにちは。なにわファンドの内藤です。

最近、不動産クラウドファンディング事業を運営されている同業他社の方や、これから不動産特定共同事業への参入を検討されている事業者の方からご相談をいただく機会が増えています。

気が付けば、こうしたご相談を受けるのも4社目となりました。

ご相談内容は実に様々です。

「マーケティングはどのようにしているのですか?」

「費用対効果の良かった集客方法はありますか?」

「想定利回りはどのように決めているのですか?」

「何名体制で運営しているのですか?」

「業務管理者としてどのような点に注意されていますか?」

など、事業運営に関する具体的なご質問をいただきます。

もちろん、私たちが経験してきた範囲でお伝えできることはあります。

しかし、こうしたご相談を受けるたびに感じることがあります。

それは、「どの質問も大切ですが、それ以上に大切なことがあるのではないか」ということです。

マーケティング手法も、組織体制も、利回り設定の考え方も、事業運営において重要な要素です。

ただ、それらはあくまで手段です。

私自身、不動産クラウドファンディング事業を運営する上で最も大切なのは、「何のために事業を行うのか」という経営者の姿勢だと考えています。


不動産クラウドファンディングに正解はない

なにわファンドもこれまで試行錯誤の繰り返しでした。

他社の商品に実際に出資したり、同業他社の皆さまと情報交換を行ったりしながら、多くのことを学ばせていただきました。

今も試行錯誤を繰り返しながら勉強の日々です。

その中で強く感じたのは、不動産クラウドファンディングには唯一の正解がないということです。

全国規模で展開する大手事業者もあれば、私たちのような地域密着型の事業者もあります。

取り扱う不動産も、共同住宅、商業施設、ホテル、開発案件、再生案件など様々です。

当然ながら、事業規模も経営方針も異なります。

だから、

「この会社が成功しているから真似をすれば良い」

「利回りを高くすれば資金が集まる」

という単純な話ではありません。

事業者ごとに置かれている環境が違い、抱えるリスクも異なります。

それぞれの事業者が、自社の強みや規模に応じた運営を行うことが大切だと思っています。


私が考える投資家保護

一方で、この個別性の強さは、投資家の皆さまにとって商品比較を難しくする要因でもあります。

利回りが高い商品が悪いわけではありません。

逆に、利回りが低い商品が安全というわけでもありません。

様々な商品やサービスが存在すること自体は、とても良いことだと思っています。

投資家の皆さまの考え方やリスク許容度も様々だからです。

ただ、その裏側にあるリスクや事業者の考え方までは、利回りや募集金額といった数字だけではなかなか見えてきません。

だからこそ私は、これまでブログを通じて運用実績や資金拘束期間、ファンドの特徴や考え方などをできる限りお伝えしてきました。

投資家の皆さまが判断するための材料を少しでも増やしたい。

それが私たちなりの透明性であり、投資家保護につながると考えているからです。

コンプライアンス研修や業界関係者との意見交換を通じて、改めて考えさせられたのが「投資家保護」とは何かということでした。

一般的には、「安心・安全を確保すること」という意味で語られることが多いかもしれません。

もちろん、それも大切です。

しかし私は運営開始当初から、少し違う考え方を持っています。

私が考える投資家保護とは、投資家の皆さまが、ご自身のリスク許容度に応じた投資判断を行える環境を整えること

です。

そのためには、

・どのようなリスクがあるのか

・なぜその利回りなのか(利回りの根拠)

・想定どおりにいかなかった場合に何が起こるのか

・事業者はそのリスクをどのように考えているのか

こうした情報を分かりやすくお伝えすることが重要だと思っています。

実際に、なにわファンドの「まいど24号」では、マスターリースに関するリスクについてかなり詳しくご説明しました。

その結果、普段は当日で完売することの多いファンドでしたが、完売まで約10日を要しました。

また、出資額を抑えてご参加された方もいらっしゃいました。

投資家の皆さまがリスクについてしっかりと考え、ご自身で納得した上で投資判断をしてくださったことがわかりとても安堵したことを覚えています。

実際に、

「なにわファンドだから大丈夫」ではなく、「良いことだけでなくリスクまでしっかり説明してくれるので、自分で判断できる」

というお言葉をいただいたことがあります。私たちにとって、とてもありがたく嬉しい言葉でした。

私たちは、「安心できるので大丈夫です!」とお伝えしたいのではありません。

その投資にどのようなリスクがあり、どのような特徴があるのかを十分にご理解いただいた上で、ご自身で納得してご判断いただきたい。

分からないことや不安なことがあれば、遠慮なく聞いていただきたい。

そのために必要な情報をできる限り丁寧にお伝えすることが、私たちの役割だと考えています。


実務よりも大切なこと

業務管理者として私が常に意識していることがあります。

それは、「何のためにこの事業を行うのか」という原点です。

不動産特定共同事業の許可取得やファンド組成は、一定の要件を満たせば実現できます。

しかし、本当に重要なのは、その体制を機能させ続けることです。

投資家保護のためのコストを惜しまないか。

業務管理者が経営陣に率直な意見を言えるか。

必要な場面で「NO」と言えるか。

営業や事業拡大が内部管理態勢より優先されていないか。

こうした部分は、マニュアルだけでは解決できません。実務は後から改善できます。

しかし、投資家保護に対する考え方や企業としての倫理観は簡単には変わりません。

私はコンプライアンスリスク管理とは単なる法令遵守ではなく、経営そのものだと考えています。


信頼こそ最大の資産

一般投資家の皆さまから資金をお預かりすることは決して簡単なことではありません。

本当に難しいのは、投資家の皆さまから信頼をいただき、その信頼を維持し続けることだと思っています。

信頼は築くのに時間がかかります。

しかし失うのは一瞬です。

その影響は不動産クラウドファンディング事業だけではなく、会社全体の信用にも及びます。

私は、なにわファンドにとって最も重要な資産は、不動産でも募集実績でもなく、投資家の皆さまからいただいている信頼そのものだと思っています。

だからこそ、事業部門による自律的管理、管理部門による牽制、内部管理部門による検証という「三つの防衛線」を意識しながら日々の業務に取り組んでいます。

営業は内部管理態勢を突破するために存在するのではありません。

投資家保護という共通の目的のもとで、それぞれが役割を果たすことが大切だと考えています。


業界全体の発展のために

近年、不動産クラウドファンディング業界の健全な発展を目的として、一般社団法人不動産クラウドファンディング協会が設立されました。

業界の「信頼性」「透明性」「認知度」の向上を目的として活動されており、投資家保護や情報開示の観点からも非常に意義のある取り組みだと感じています。

法改正があれば勉強会が開催されるほか、運営体制についてもチェックリストに沿った助言を受けられたり、事業者同士が情報交換できる場が設けられたりしています。

特に、これから不動産クラウドファンディング事業へ参入される事業者にとっては、実務面でのサポートを受けながら学べる環境が整っているため、協会へ加入するメリットは大きいのではないかと感じています。

ちなみに、ここまで協会のお話をしておいて恐縮ですが、なにわファンドは書面契約型のため現在は協会に加入していません。

「会員ちゃうんかい!」

というツッコミが聞こえてきそうですが(笑)、投資家保護や業界の健全な発展という目指す方向は同じです。

むしろ、こうした業界団体の活動によって事業者全体のレベルが向上し、市場への信頼が高まることは、投資家の皆さまにとっても大きなメリットだと思っています。

会員か非会員かに関わらず、事業者一人ひとりが真摯に投資家と向き合い、誠実な情報開示と適切な運営を積み重ねていくことが、市場全体への信頼につながるのではないでしょうか。


おわりに

不動産クラウドファンディング事業への参入を検討されている方からご相談をいただくたびに感じるのは、マーケティングや利回り設定、組織体制といった実務以上に、

「何のために事業を行うのか」

という姿勢が大切だということです。

近年は空き家問題が社会課題となっており、寝屋川市でも全国で初めて市内全域を対象とした空き家税(空き家流通促進税)の導入が決定されるなど、その活用や流通促進の重要性はますます高まっています。

今後は、既存建物の再生や有効活用の取り組みも一層求められてくるものと考えております。

私どもも、投資家の皆さまにご納得いただける運営はもちろんのこと、地域にも貢献できる事業展開を目指して邁進してまいります。

投資家保護に対する考え方も、情報開示の姿勢も、コンプライアンスへの向き合い方も、その根本には企業としての価値観があります。

不動産クラウドファンディングは、まだ発展途上の市場です。

だからこそ、事業者一社一社の姿勢が業界全体の評価につながります。

私自身、これからも「身の丈に合った運営」と「投資家本位」という考え方を大切にしながら、投資家の皆さまに必要な情報を分かりやすくお伝えしてまいります。

そして、新たに参入される事業者の皆さまとも学び合いながら、不動産クラウドファンディング市場全体の健全な発展に少しでも貢献できれば幸いです。

引き続き、皆さまのご期待にお応えできるよう、適正かつ誠実な運営に努めてまいりますので、ご高配を賜りますようお願い申し上げます。